株や投資信託などで比較的安全に投資を始めるにあたっては、100万円くらいの初期資金があると、心に余裕をもって運用できますし、なにより「お金が増えている」という実感がありますよね。
では、ひとまず100万円の投資用の元手となる資金を作りたい場合、皆さんならどのようなアプローチをとるでしょうか?
仕事を頑張ることで収入を増やしますか?それとも節約を頑張って支出を減らしますか?
結論から言うと、例えば10万円収入を増やすことを頑張るよりも、節約して10万円支出を減らす方が断然効率的です。本記事では、支出を減らす方が効率的にお金が貯まる理由と、節約の基本について解説していきます。
お金を貯めるには、収入を増やすより、支出を減らす方がいい理由
収入を増やすアプローチ
収入を増やす方法としては
- 会社で頑張って給与所得を増やす
- 副業を頑張って事業所得や雑所得を増やす
- リスクのある投資で利益を上げる
などが考えられますね。それぞれの方法について、順番に見ていきましょう
給与所得を増やす方法
会社員の方は、給与所得という比較的安定した収入があることが魅力です。
仕事を頑張って成果を出して社内で認められることで、さらに昇給や昇格し給与所得の増加が見込めます。
しかしながら、給与自体はそれほど急激かつ大幅に上がることは少ないでしょうし、あなたを評価するのはあくまでも会社なので、自分でコントロールすることは不可能です。
配偶者控除・扶養控除などの有無、交通手当などの非課税所得にもよりますが、年収500万円のサラリーマンの手取りは、約400万円程度になります。仮に年収が100万円上がって600万円になると、同じ計算では手取りは約470万円で、70万円しか上がらないことになります。
つまり、仮に年収が100万円上がっても、税金などによって、実際の手取りアップは100万にはならないということです。
副業で事業所得を増やす方法
サラリーマンで給与所得の大幅な増加が期待できないという方は、副業によって収入を増やすということも可能です。個人事業主は、サラリーマンよりも節税方法の選択肢が多いので、比較的少ないものの、上げた利益に対しては税金がかかってきます。
リスクのある投資で利益を上げる
投資資金を投資で作るというのも考え方の一つですが、限られた時間のなか、少額投資だけで100万円もの種銭を作るのは、上級者でもかなり難しく、どうしても個別株やFX、やレバレッジ型投資信託など、ハイリスク・ハイリターンのギャンブル的な商品に手を出さなくてはなりません。
うまく当たればよいのですが、失敗してしまうと投資における、貴重な資源である「時間」をみすみす失ってしまうことになります。
また、投資で得た利益に対しても、やはり税金がかかってしまいますので、むやみにお勧めできる方法ではありません。
支出をへらすということ
見てきたように、収入を増やすアプローチは、不安定な要素がある上に、税金を中抜きされるので、非効率です。では支出を減らすのはどうでしょうか?
支出を抑えて捻出した資金には税金がかからない
表題のとおり、家計の節約によって、毎月4万円を捻出できたとしましょう。2年1ヵ月(25ヵ月)でちょうど100万円を捻出したことになりますが、この費用は手取りから出しているものですので、もうこれ以上税金はかかりません。丸々100万円を手に入れることができます。
毎月捻出できたお金を、銀行やタンスで貯金するのはもったいない話ですね。どうせなら、投資信託などの利益が非課税になる「NISA」や「積み立てNISA」の枠を使って、比較的リスクの少ない投資信託で運用してしまいましょう。
毎月4万円を25か月間積み立てしたとしましょう。年利の基準として「積み立てNISA」の対象銘柄にも選ばれている金融庁もお墨付きを与えている優良バランスファンドの一つ「ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスF 4資産均等型」を仮定します。SBI証券のWebサイトによると、2021年2月末日現在では、過去3年で年平均5.21%、過去5年で年平均6.44%とのことです。
この投資信託は「国内株式」「国内債券」「先進国株式」「先進国債権」という4つの異なる性質を持つ商品に均等に分散する商品です。一般的に株式と債券は長期金利に対して逆の値動きをするので、株式/債権、日本/外国に分散して投資することで、リスクを抑えつつ、リターンを狙うというというものです。
ひとまず少ない方の数字、年利5.2%で計算してみましょう。楽天証券の「積立かんたんシミュレーション」で計算してみたところ、最終的な積立金額は105万3769円になりました。毎月の積み立て金額分を大きく超える53,769円もの利益が出たことになります。
まだ証券口座を持っていない方は、特に費用は掛かりませんので、早めに口座開設することをお勧めします。
様々な証券会社があって、それぞれ特徴を持っているのですが、投資信託の売買手数料が無料、取り扱い商品の多さなどから、まず最初に開設するのであれば、楽天証券やSBI証券、松井証券からスタートするのがいいのではないかと思います。
支出を抑えるには
「支出を抑えればよい」と言うと、よく質問されるのが
- いったい何から手を付けていけばいいの?
- どのくらいの額を貯蓄として捻出すればいいの?
の2点です。
毎月の貯蓄額が多過ぎて、生活に余裕がなくなるのも不幸ですので、少な過ぎず、かつ、無理なくためられる金額を考える必要があります。
収支を把握
まずやりたいことは、12か月分の収支を把握することです。
なぜ1か月ではなく12か月かというと、自動車税や年払いの保険、様々な年会費などについても、きちんと「見える化」させるためです。
私は、Excelなどの表計算シートで、縦軸を出費の項目、横軸に1月~12月の収入と支出の額(そして合計額)にした「収支表」を作って管理しています。
(要望が多ければシートのフォーマットを公開しますので、コメント欄にご意見ください)
固定費を抑える
年間を通しての収支がわかったところで、まず考えたいのが、通信費や保険料などの固定費を見直すことです。
固定費には、家賃や住宅ローンなどの「住居費」、電気や水道、ガス代などの「水光熱費」、スマホや光回線代などの「通信費」、生命保険や医療保険、自動車保険などの「保険料」などがあります。
先に作った「収支表」でどれくらい固定費がかかっているか、調べてみましょう。
通信費の削減
通信費の削減に関しては、まずは、格安スマホ(MVNO)を利用することで大幅に固定費を削減できます。
代表的なもので「UQモバイル」「LINEモバイル」「nuro mobile」「OCN モバイル ONE」あたりがお勧めです。
また、携帯電話主要3社が相次いで発表して、2021年3月からサービス開始になるドコモの「ahamo」、auの「povo」、Softbankの「LINEMO」、また1GBまでのデータ量が無料になる「楽天モバイル」などに乗り換えることも検討してみましょう。
さらに、自宅の光回線も見直すことで大幅に固定費が下がったり、同じ値段でも快適に利用できるようになります。例えば、現在、ドコモやau、SoftBankの三大キャリアのスマホを利用している方は、それぞれ「ドコモ光」「auひかり」「ソフトバンク光」に乗り換えることで、セット割でスマホの利用料金が1100円安くなるので、年間13200円の固定費削減になります。
光熱費の削減
また、電気やガスについても、数年前から全面的な小売自由化がスタートしており、ここ数年で、様々な料金プランが登場していますので、皆さんの電気やガスの利用スタイルに応じて選んでみてはいかがでしょうか。
例えば、毎月の基本料金が0円になる「Japan電力」や「0円でんき」、また日曜日の電気代がなんと半額になる「エフエネHOME」など魅力的なプランがたくさん出ています。
とはいえ、経産省の報告書によると、2020年10月時点で、新規参入した電力小売り事業者は、なんと679社あるそうです!これでは、なかなか選ぶのも大変ですね・・(汗)。
そんな場合には、多数の電力会社から最適なプランを案内てくれるうえに、現在の電力会社の解約から、無料で新電力会社への申し込みまでやってくれる「エネナビ」や「エネチェンジ」、「インズウェブ」という便利なサイトもありますので、皆さんも利用を検討してみてはいかがでしょうか?
(ちなみに昨年我が家も、東京電力から「ENEOSでんき」に契約変更しました)
また、プロパンガス会社の比較については、「ガス屋の窓口」の利用が便利です。
まとめ
本記事では、お金を貯めるためには、収入を増やすよりも支出を減らす方が断然効果的である理由、および支出を減らすために、まずは固定費の削減の検討が効果的なことについて、お話しました。
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